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韓国・警察庁長官の竹島上陸についての私見

日韓間の政治的な対立や相互の国民感情は、2017年に文在寅(ムン・ジェイン)氏が大統領に就任してから悪化の一途を辿っている。

最近も、韓国の警察庁長官が11月16日に竹島に上陸したことを受け、翌日にワシントンで行われた日米韓3カ国の外務次官協議の後に予定されていた共同記者会見が日本側の判断で中止となり、米国のシャーマン国務副長官の単独会見に変更された。

なぜ、日本側が共同記者会見の中止を決めたのか。

それは、松野博一官房長官によれば、「今般の竹島をめぐる事案に関し、我が国の立場に鑑み、到底受け入れることができず、韓国側に強く抗議をしている中、共同記者会見を実施することは不適当と判断をした」からだそうです。まあ、至極最もな判断ではあると思う。

さて、12年ぶりとなる韓国・警察庁長官の竹島上陸が、中国や北朝鮮への対応が重要議題となる日米韓の外務次官協議の直前になされた動機の一つとして、来年の韓国大統領選挙があると思われる。

韓国与党の大統領候補である李在明(イ・ジェミョン)前京畿道知事が、野党候補の尹錫悦(ユン・ソクヨル)前検察総長に世論調査でリードを許しており、与党側の戦略として国民に日本への対決姿勢ないし強硬姿勢を示す必要があったのだろう。

反日教育がいまだに行われている韓国では、日本への強気な態度は広く喝采を呼ぶわけであり、劣勢の与党としてはこれに賭けるしかないわけだ。

また、与党候補の李在明氏については、城南市大庄洞(テジャンドン)の都市開発事業に絡んだ不正疑惑に関与しているのではないかとの疑惑の目が向けられており、与党候補だから徹底捜査は期待できないとしても、大統領選挙までくすぶり続けることは想像に難くない。こういう疑惑から国民の目を背けさせるためにも日本への対決姿勢は非常に効果的なのである。

次に、警察庁長官が竹島に上陸した別の動機のついて考えたい。

それは、米国の協議出席者がウェンディ・シャーマン米国務副長官であったことだ。シャーマン氏は、オバマ政権下で国務次官補を務めた人物であり、日韓関係を改善する意思のなさそうな朴槿恵政権に対してかなり強い言葉で批判したことがある。

彼女は、カーネギー国際平和研究所主催のセミナー(2015年3月に実施)での基調演説で、「過去史は韓国、中国、日本の全ての責任であり、政治指導者が民族主義感情を悪用し、過去の敵を非難すれば、安っぽい拍手を貰えるかもしれない」と述べ、これは日本に対する朴槿恵政権の姿勢を批判したものと受け取られた。

このシャーマン氏の発言に対し当時の韓国国民は、もちろん、猛烈に抗議し、公開謝罪と更迭を求める事態にまでなったのであるが、当時の大きな流れを変えることにはならず、例えば、2015年12月には、オバマ政権の圧力に半ば屈する形で慰安婦合意が成立した。

このような事情からすると、慰安婦合意に加担したシャーマン氏は、慰安婦合意をひっくり返して滅茶苦茶にした文政権からすると日本寄りの人物に見えてしまうだろうから、警察庁長官の竹島上陸はシャーマン氏に対して一撃を加える意図もあったのではないかと思われる。結果として、シャーマン氏の面目を潰す形で共同会見が中止となったわけであるから韓国政府としてはしてやったりというところだろうか。

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