障害者自立支援法
今日は横浜のダイヤモンド地下街にある有隣堂という本屋に行って来たのですが、何の気なしにパラパラと立ち読みした障害者自立支援法についての解説本を見て、ちょっとショックを受けました。
去年の郵政解散に伴って障害者自立支援法が廃案になったことまでは知っていましたが、その後の特別国会でこの法案が可決成立していたとは!
詳しいことよく分かりませんが、内容も特に修正されないまま半ば強引に可決されたとのことです。
全然知りませんでした…。
世間一般の人はみんな知っているのだろうか?
この法改正で何が変わったのかは、これから細かく勉強していこうかと思っていますが、
「応益負担」による負担増について、法律の不備を指摘する声が相当に強いことは確かなようです。
私が思うに、
この分野における負担増は、かなりデリケートで慎重を要する問題であって、十把一絡げに取り扱うべきものではない。
低所得者に対してそれなりの配慮をしてはいるようですが、極めて不完全なもののようです。
負担を増やして然るべきという人もいれば、逆に負担を減らしてあげるべきという人もいます。
もっと現場の意見を取り入れて、慎重に討議すべき法案だったのではないでしょうか?
精神保健福祉法32条というのがありまして、精神科の通院医療費(診察代や薬代)の95%を公費で負担するという制度なのですが、これも廃止となったようです。現在は、収入に応じて1~3割の負担となっているようです。
これも「障害者自立支援法」の成立に関連して生じた変更点なのですが、これは、私としてはやや賛成です。
厳密な理由は省略しますが、客観的に見てやや甘すぎたと言っていいと思います。
中にはこの制度を利用しても生活がぎりぎりだった方もいるかもしれませんが、総体的にみると、かえって自立を阻害しているケースが多いように感じます。
しかし振り返ってみれば、この32条も十把一絡げな制度だったんだと思います。
家族との同居の有無、収入の状況、病気の程度・内容などを細かく審査して、ほんとに困っている人に対してだけ適用すべきだったんだと思います。
さて、「障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会」という団体が昨年の10月31日に出した声明を紹介したいと思います。
興味のある方は是非目を通してみてください。
障害を負う可能性というのは、私にもあなたにも、誰にでもあるわけです。
いってみれば、全ての人に関わる問題です。
他人事ではないということを心に刻んで読んでほしいと思います。
ブログには相応しくない長文となってしまいそうですが、そこはご容赦願いたいと思います。
☆☆☆
障害者・家族の声を無視した「障害者自立支援法案」可決の暴挙に強く抗議します!
本日10月31日、衆議院本会議で「障害者自立支援法案」が可決・成立しました。このことによって、2006年4月1日から新しい障害者福祉制度として実施されることとなります。
同法案は、あまりにも多くの内容を政省令に委ねたまま、しかもその概要も明らかにしていないこと、何よりも利用料の定率(応益)負担および自己負担導入を前提とする制度改革案であることなどから、障害者の生活を破壊しかねないものといわざるをえません。それゆえに、多くの障害者・家族・関係者は、もっと実態を直視して、慎重な審議を行うよう、繰り返し求めてきました。
前国会からの審議の過程で、衆・参3回にわたって行われた参考人招致や地方公聴会においても、「負担問題への不安や疑問」など、まさに障害者のいのちや暮らしに直結する問題が指摘され、「採決を急ぐのではなく、疑問や不安に丁寧に答える国会や委員会であってほしい」との声が大勢を占めていたことでも、多くの障害関係者の率直で切実な要望であったことは明らかです。
また、参議院では異例の23項目にも及ぶ「附帯決議」を付加せざるを得ないなど、同法の実態からの遊離や不十分さは誰の目にも明らかになっているはずです。
私たちは、こうした審議の進行に合わせて、前国会中には、5月12日に6600人、7月5日に1万1000人が全国から詰めかけ、必死の訴えを行いました。全国各地でも、各種抗議の集会や行動がとりくまれ、その参加人数はのべ約5万人にも及ぼうとしています。また、今国会中も「このままの障害者自立支援法では納得できません。当事者・地方の声を国会にとどけよう!2週間行動」を実施し、この間のべ約3000人の関係者が「慎重審議」「定率(応益)負担の再検討」を求めて、全衆議院議員480名に連日要請を行い、委員会傍聴にもとりくんできました。まさに、自らの生命を削ってまで、こうした行動に参加した人々の思いは、一部の障害者団体による「法案成立を是認する発言」とはかけ離れた生活者の生の声といえます。
今回の再提案された法案は、結局こうした思いを無視した「利用料定率負担・自己負担」の原則を前提としたものであり、「低所得者への配慮」などで是正されるものではありません。また、あらたな障害認定の仕組みやサービス利用決定の仕組みなど、これまでの「必要に応じたサービス利用」を制限する仕組みにつながるという指摘も払拭されていません。
また、引き続きあまりに多くの不透明な政省令事項を残したまま、法案が採決されるという異常さも不安をいっそう助長するものとなっており、市町村ですら、こうした審議経過と政省令事項の不明確さのために、来年度予算編成すら困難になり、結局市町村に財政的しわよせを行うのではないかとの不安も広がりはじめています。
いまやこの問題は、単に障害者の問題だけでなく、日本の社会福祉制度の根幹・地方自治における制度実施の見通しにも及ぶ大きな社会問題となりつつあるのです。
私たちは何度でも主張します!
他の国民との「公平論」や「財政論」を振りかざして、「障害ゆえにさまざまな経済的負担を生涯にわたって強いられる実態」「障害が重いほど経済的にも不安定な実態」を無視した議論はもちろん、「障害者があたりまえに生きる権利を奪い去る制度」を決して容認することはできません。
障害者・家族は、長年にわたる障害者福祉制度の谷間の中で、必死になって生活を続けてきました。今回の定率(応益)負担導入は、こうした障害者・家族に「金なき者は生きることさえ認めない」という「絶望」を突きつけるものにほかなりません。
こうした主張がさまざまな面で明らかになりながらも、平然と法案の見直しを行うことなく再提出をはかり、極めて短時間の審議で採決を行った暴挙に、そして国連・障害者権利条約の制定など国際的な世論や動向にも逆行し、当事者の声を圧殺するかのごとき同法案の可決という民主主義をないがしろにする暴挙に対し、強く抗議するものです。
私たちは、決してあきらめません!
引き続き、真の障害者の自立を求めて、この間主張してきた、①「応益(定率)負担」の導入と食費等の自己負担の再検討を、②現行の障害者医療制度の存続を、③家族負担の撤廃・本人所得のみに着目した負担制度を、④本格的な所得保障制度の確立を、⑤不十分な地域サービス基盤の整備を、⑥実態に合った障害程度区分の判定を、⑦障害当事者・関係者の声を反映した政省令をとの声を中心に、制度の抜本的改定を勝ち取るまで広範な国民と連帯した運動を展開していく決意です。
2005年10月31日
障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会
☆☆☆
去年の郵政解散に伴って障害者自立支援法が廃案になったことまでは知っていましたが、その後の特別国会でこの法案が可決成立していたとは!
詳しいことよく分かりませんが、内容も特に修正されないまま半ば強引に可決されたとのことです。
全然知りませんでした…。
世間一般の人はみんな知っているのだろうか?
この法改正で何が変わったのかは、これから細かく勉強していこうかと思っていますが、
「応益負担」による負担増について、法律の不備を指摘する声が相当に強いことは確かなようです。
私が思うに、
この分野における負担増は、かなりデリケートで慎重を要する問題であって、十把一絡げに取り扱うべきものではない。
低所得者に対してそれなりの配慮をしてはいるようですが、極めて不完全なもののようです。
負担を増やして然るべきという人もいれば、逆に負担を減らしてあげるべきという人もいます。
もっと現場の意見を取り入れて、慎重に討議すべき法案だったのではないでしょうか?
精神保健福祉法32条というのがありまして、精神科の通院医療費(診察代や薬代)の95%を公費で負担するという制度なのですが、これも廃止となったようです。現在は、収入に応じて1~3割の負担となっているようです。
これも「障害者自立支援法」の成立に関連して生じた変更点なのですが、これは、私としてはやや賛成です。
厳密な理由は省略しますが、客観的に見てやや甘すぎたと言っていいと思います。
中にはこの制度を利用しても生活がぎりぎりだった方もいるかもしれませんが、総体的にみると、かえって自立を阻害しているケースが多いように感じます。
しかし振り返ってみれば、この32条も十把一絡げな制度だったんだと思います。
家族との同居の有無、収入の状況、病気の程度・内容などを細かく審査して、ほんとに困っている人に対してだけ適用すべきだったんだと思います。
さて、「障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会」という団体が昨年の10月31日に出した声明を紹介したいと思います。
興味のある方は是非目を通してみてください。
障害を負う可能性というのは、私にもあなたにも、誰にでもあるわけです。
いってみれば、全ての人に関わる問題です。
他人事ではないということを心に刻んで読んでほしいと思います。
ブログには相応しくない長文となってしまいそうですが、そこはご容赦願いたいと思います。
☆☆☆
障害者・家族の声を無視した「障害者自立支援法案」可決の暴挙に強く抗議します!
本日10月31日、衆議院本会議で「障害者自立支援法案」が可決・成立しました。このことによって、2006年4月1日から新しい障害者福祉制度として実施されることとなります。
同法案は、あまりにも多くの内容を政省令に委ねたまま、しかもその概要も明らかにしていないこと、何よりも利用料の定率(応益)負担および自己負担導入を前提とする制度改革案であることなどから、障害者の生活を破壊しかねないものといわざるをえません。それゆえに、多くの障害者・家族・関係者は、もっと実態を直視して、慎重な審議を行うよう、繰り返し求めてきました。
前国会からの審議の過程で、衆・参3回にわたって行われた参考人招致や地方公聴会においても、「負担問題への不安や疑問」など、まさに障害者のいのちや暮らしに直結する問題が指摘され、「採決を急ぐのではなく、疑問や不安に丁寧に答える国会や委員会であってほしい」との声が大勢を占めていたことでも、多くの障害関係者の率直で切実な要望であったことは明らかです。
また、参議院では異例の23項目にも及ぶ「附帯決議」を付加せざるを得ないなど、同法の実態からの遊離や不十分さは誰の目にも明らかになっているはずです。
私たちは、こうした審議の進行に合わせて、前国会中には、5月12日に6600人、7月5日に1万1000人が全国から詰めかけ、必死の訴えを行いました。全国各地でも、各種抗議の集会や行動がとりくまれ、その参加人数はのべ約5万人にも及ぼうとしています。また、今国会中も「このままの障害者自立支援法では納得できません。当事者・地方の声を国会にとどけよう!2週間行動」を実施し、この間のべ約3000人の関係者が「慎重審議」「定率(応益)負担の再検討」を求めて、全衆議院議員480名に連日要請を行い、委員会傍聴にもとりくんできました。まさに、自らの生命を削ってまで、こうした行動に参加した人々の思いは、一部の障害者団体による「法案成立を是認する発言」とはかけ離れた生活者の生の声といえます。
今回の再提案された法案は、結局こうした思いを無視した「利用料定率負担・自己負担」の原則を前提としたものであり、「低所得者への配慮」などで是正されるものではありません。また、あらたな障害認定の仕組みやサービス利用決定の仕組みなど、これまでの「必要に応じたサービス利用」を制限する仕組みにつながるという指摘も払拭されていません。
また、引き続きあまりに多くの不透明な政省令事項を残したまま、法案が採決されるという異常さも不安をいっそう助長するものとなっており、市町村ですら、こうした審議経過と政省令事項の不明確さのために、来年度予算編成すら困難になり、結局市町村に財政的しわよせを行うのではないかとの不安も広がりはじめています。
いまやこの問題は、単に障害者の問題だけでなく、日本の社会福祉制度の根幹・地方自治における制度実施の見通しにも及ぶ大きな社会問題となりつつあるのです。
私たちは何度でも主張します!
他の国民との「公平論」や「財政論」を振りかざして、「障害ゆえにさまざまな経済的負担を生涯にわたって強いられる実態」「障害が重いほど経済的にも不安定な実態」を無視した議論はもちろん、「障害者があたりまえに生きる権利を奪い去る制度」を決して容認することはできません。
障害者・家族は、長年にわたる障害者福祉制度の谷間の中で、必死になって生活を続けてきました。今回の定率(応益)負担導入は、こうした障害者・家族に「金なき者は生きることさえ認めない」という「絶望」を突きつけるものにほかなりません。
こうした主張がさまざまな面で明らかになりながらも、平然と法案の見直しを行うことなく再提出をはかり、極めて短時間の審議で採決を行った暴挙に、そして国連・障害者権利条約の制定など国際的な世論や動向にも逆行し、当事者の声を圧殺するかのごとき同法案の可決という民主主義をないがしろにする暴挙に対し、強く抗議するものです。
私たちは、決してあきらめません!
引き続き、真の障害者の自立を求めて、この間主張してきた、①「応益(定率)負担」の導入と食費等の自己負担の再検討を、②現行の障害者医療制度の存続を、③家族負担の撤廃・本人所得のみに着目した負担制度を、④本格的な所得保障制度の確立を、⑤不十分な地域サービス基盤の整備を、⑥実態に合った障害程度区分の判定を、⑦障害当事者・関係者の声を反映した政省令をとの声を中心に、制度の抜本的改定を勝ち取るまで広範な国民と連帯した運動を展開していく決意です。
2005年10月31日
障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会
☆☆☆