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中学2年生のナイフ切り付け事件

日刊スポーツの記事に、「熊本県山都町の町立中学校で2年生の女子生徒(14)が同学年の男子生徒(14)にナイフで切られた事件で、県警から通報を受けた県は27日、ショックで入院したこの男子生徒の動揺が激しく、自傷行為の恐れがあるとして、別の病院に措置入院させた。」
という記事がありました。

私は昔、精神科の看護助手をやっていた時期があるんですが、こんな記事を見ると切なくなってしまう。

断定はできないけど、やはり精神症状に起因する行動だったと思う。

こういう事件を防ぐにはどうしたらいいのか? 確かに家族や周りのクラスメートや先生が異変に気付いて何らかのアクションをとれば事件は防げたかもしれない。でもたいていは精神科など行きたがらないものである。入院なんてなおさらである。

やはり、学校で二人きりにならないとか防犯スプレーを携帯するとかして自らの身を守る他ないと思う。

他にできることがあるとしたら、同じ異常行動にしてもどれが危険でどれが危険でないかという見極めをすることである。独語(独り言をぶつぶつ言うこと)なんてのは、たとえそれが奇行に類するものであってもなんてことはない。そういう外面的なことよりは、内面をよく見るべきだと思う。

考え方が常軌を逸して被害妄想的だったり攻撃的だったりするとか、何でもないことでむやみにカッとなるとか、全く筋の通らない理屈をつけて人を恨んでいるとか、そんな人には少し距離をおけばいい。というかこれは精神障害の有無に限らずですけどね。

ちょっとおかしな奴は病院に押し込んでしまえというような声も上がるだろうけど、これはかなり乱暴な議論である。仮に精神障害を持っていて多少異常な行動があろうと、それが暴力に結びつくことは実際は少ない。むしろ温和な人の方が多いくらいです。

精神障害者の犯罪率とかいう統計データがあるそうですが、統合失調症について言えば、統合失調症にかかっている人が人口の1%程度いるのに対して、刑法犯(運転中の業務上過失は除く)としての検挙率は0.1%程度に過ぎない。統計の取り方が適正かどうかはよく分かりませんが、もしこのデータが信頼できるものだとしたら、いわゆる健常者の方がよっぽど危険なことになる。

ただ精神障害者の場合は犯行の理不尽さが際立つ場合が比較的多いんで、どうしても世間の注目を浴びてしまう。これはもう仕方がないかもしれない。

とにかく、「精神障害者=怖い」というイメージは偏見というしかない。あえて言うならば、「きわめてごく一部の精神障害者=理不尽な犯行に走る」ということになろうか。


冒頭の記事に戻りますが、肝要なのは、

生育歴、家庭環境、学校での人間関係、精神症状の程度、遺伝の有無、本人の趣味・嗜好などを総合的に調査して何が彼を犯行に駆り立てたのかを冷静・客観的に判断していくことです。

我々がつまらない偏見に振り回されている限り、こうした問題は解決しないと思う。


それにしても切ないです。


まだ中学2年生なのに…。


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